ブラック企業がなぜ生まれるのか

最近、ブラック企業についての報道が多くなってきた。

なぜブラック企業が生まれるのか、私自身の考えは「ひじょうに競争が激しい業界」だからだ。

飲食業や宅配業、IT業界、メディア業界はブラックの温床になりやすい。

商品自体に大きな差がなく、競合他者の多い業界は、コスト競争に陥りやすい。
商品の魅力で勝負できないので、他社との差別化の要因は、従業員をどれだけ安い賃金で長時間働かせるかがポイントになりやすい。

そして、こういった競争の激しい業界でマーケットシェアを維持している会社は、
仕組みとしてブラックな労働を強いる仕組みを社内に確立している。

入社してしまうといつの間にか、その仕組みにハマってしまい、「これっておかしくない?」と最初は思うもののしだいに正常な判断ができなくなり、その社風に馴染んでしまう。
特に他の会社がどういうものかを知らない20代の社員なんかは「会社とはそういうもんだ」などと思ってしまいがちだ。

最近、私が経験した例では明らかに尋常ではない働き方をしている部長さんがいた。
夜も昼もなく働き、土日も仕事に忙殺されていた。
彼は部長さんで部下も大勢いる。
部下の方は「部長があれだけ頑張っているんだから、自分だけ頑張らないわけにはいかない」というメンタリティになりやすい。

これはまさに悲劇であり、そもそもなぜこんなことが起こるのかと考えざるを得なかった。

部長とその部下たちが一生懸命働くことによって、会社は存続できているとはいえ、
そうすることによってしか存続できない会社ってなんだろう。

結局、この会社の最大の問題は競合を圧倒的に上回る付加価値を生み出せていないことにある。会社が提供するサービスがコモディティ化しているのだ。

ブラック企業のニュースを見ていると、伝え方が表層的であると感じる。
経営者がひどい人、だからブラック企業なんだと。

しかし、もしブラックでなかったら、あっという間に倒産する業界や会社がある。
ブラックを前提に成り立つ会社とでも言おうか。

私の結論は、そういう会社が世の中にはあるということを前提に、最初から関わりを持たないというものだ。

解決しようにも、どうしようもないものだからだ。

社長に対して「おかしいから、体質を改めよう」と言ってみても、無駄だろう。
あるいは、競合を打ち負かす、圧倒的な付加価値を生み出すといっても、業界にどっぷりと浸かりきって考える力を失った会社が、いきなり打開策を打ち出せるとは考えにくい。

唯一の解決策は、こういったブラック企業に人が集まらなくなることではないか。
人が次々と辞めていく。

そういう企業では最初から働かない。
そういう企業とは最初から関わりを持たない。

こう考える人が増えれば、そういう会社は生まれにくくなるのではないか。


日本人は、どんなに劣悪な環境に置かれても「空気」に支配され、
頑張ってしまうから、ブラック企業が発生するのだと思う。


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