出版社のドンブリ文化

出版社って他の業界では考えられないような、ドンブリ勘定がまかり通っている。
会社によってドンブリのところと、ドンブリじゃないところがあるけど、ドンブリ含有率は高い。ドンブリを攻めるのではなく、私はドンブリが結構好き。面白いよね。

柳美里さんと創出版のやり取りも、出版ドンブリ文化を象徴する事件だ。

柳美里さんのブログ「篠田さんは、嘘つきです。」
http://blog.goo.ne.jp/yu_miri/e/403cf161e9c9fb47270daefdc0c87615


柳美里”原稿料未払い”の月刊「創」、社員が続々退社の末期症状
http://dmm-news.com/article/895759/

この篠田さんみたいな人、特別ではなく、結構出版社にいるタイプ。
悪い人じゃないんだけど、テキトーな人。
テキトーだと一般社会では許されないけど、出版界だとなぜか許される。

私が経験したケースでは、編集長から「それじゃあ、ページ5000円でお願いします」と言われて、作業量と必要な時間を考えて「その金額では仕事を受けられません」と答えたら、「それじゃあ、ページ10000円でお願いします」って。おいおい2倍じゃんみたいな。断らなかったら、ページ5000円で仕事をしていたわけで、さっきの額はなんだったのと思った。

同じ雑誌に書いているライターにページ単価の話を聞くと、3000円だったり、5000円だったり、20000円だったり、バラバラ。同じような仕事をしているのに、自分より安い単価の人には申し訳なく思った。

人気のある書き手が高いのかというとあんまり関係ない。
執筆以外に本業を持っていたり、タダでも書くっていう人がいるから、額が適当になるんだと思う。

原稿料が振り込まれないということもよくある。
銀行口座のチェックは欠かせない。悪意を持って振り込まないんじゃなくて、忘れちゃっているんだよね。その証拠に原稿を書いていないのに、原稿料が間違いで振り込まれることもある。事務処理が苦手な編集者は多い。
それでもお互い「ごめん、ごめん」で済むんだよね。

仕事の依頼をする場合でも、編集者はあまりお金の話をしたがらず、ライターも金額を聞かない。後で金額を知って一喜一憂する。

よく言えばおおらか。悪く言えば適当。

柳美里さんの件ではいろいろなことを考えさせられた。
このところの出版不況で、かつてはおおらかだったドンブリ文化も、
笑えないものになりつつあるのが、ちょっと悲しいと思ったのでした。

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